【シニア向け】空き家を借りる・買う前に:自分でできる簡単な確認と相談先のヒント
はじめに:空き家との新しい暮らしへの第一歩
地方での空き家活用に興味をお持ちいただき、ありがとうございます。新しい場所での暮らしや、地域とつながる活動を始める拠点として、空き家は大きな可能性を秘めています。
「この空き家、いいな」と感じたとき、期待とともに「契約する前に、何か確認しておくべきことがあるのだろうか」「一人で見て回るだけで大丈夫だろうか」といった不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。
この記事では、空き家を借りたり購入したりする契約を結ぶ前に、ご自身でできる簡単な確認ポイントと、困ったときに安心して相談できる窓口について、分かりやすくお伝えします。焦らず、一つずつ確認を進めるための参考にしていただければ幸いです。
ご自身でできる簡単な確認ポイント
専門的な知識がなくても、少し注意して見て回ることで気づける点はたくさんあります。まずは、ご自身の目でできる範囲で、じっくりと物件を見てみましょう。
建物の内部を見る
- 水回り(台所、お風呂、トイレ、洗面所): 蛇口をひねって水が出るか、排水はスムーズか、カビや異臭はないかを確認します。見えにくい配管部分に水漏れの跡がないかもチェックしてみましょう。
- 壁や天井: 雨漏りした跡(シミなど)がないか、壁に大きなひび割れがないかを確認します。天井が不自然にたわんでいないかも見てみましょう。
- 床: 歩いたときに異常なきしみや、床が不自然に傾いている場所がないか確認します。特に湿気のたまりやすい場所は注意が必要です。
- 窓やドア: スムーズに開閉できるか、鍵はかかるかを確認します。隙間風が入るような大きな隙間がないかも見てみましょう。
- シロアリや害獣の痕跡: 建物の基礎の近くや、湿気がちな場所で木材の劣化、小さな穴、異物(動物の糞など)がないか、目で見て、可能であれば軽く叩いて確かめます。
建物の外側を見る
- 屋根や外壁: 遠目から見て、瓦や外壁材がずれたり破損したりしている場所がないか確認します。(危険なので、ご自身で高いところに登って見る必要はありません。)
- 基礎: 建物を支える基礎部分に大きなひび割れが入っていないか確認します。
- 雨どい: 雨どいが外れていたり、詰まったりしていないか確認します。
- 庭や敷地: 雑草が生い茂っていないか、隣地との境界ははっきりしているか、古い井戸や浄化槽の位置はどこかなどを確認します。
これらの確認は、あくまでご自身で気づける範囲の「手がかり」です。専門的な診断ではありませんが、こうした点に気づくことが、契約前に相談すべき内容を見つける第一歩となります。
周辺環境も大切な確認ポイント
空き家そのものだけでなく、周辺の環境も、新しい暮らしには大きく関わってきます。
- 日当たりや風通し: 時間帯を変えて訪れることができれば、日当たりや風通しを確認できます。
- 騒音: 周囲に大きな道路や施設がないか、時間帯によって騒がしくないかを確認します。
- ご近所の様子: 可能であれば、散歩がてら周囲を歩いて、地域の雰囲気を感じてみましょう。
- 生活の利便性: 買い物ができる場所、病院、公共交通機関などが、無理なく利用できる範囲にあるか確認します。
- ハザードマップの確認: 役所の窓口やインターネットで、その地域が自然災害(洪水、土砂災害など)のリスクエリアにあたるかを確認することも重要です。
契約や費用に関する簡単な確認
難しい手続きのことは後回しで良いですが、「契約する前に、これだけは聞いておきたい」という項目をリストアップしておきましょう。
- 契約の種類: 賃貸なのか、購入なのか。賃貸の場合、契約期間や更新はどうなるのか。
- 必要な費用: 家賃や購入費用以外に、敷金・礼金(賃貸の場合)、仲介手数料、登記費用(購入の場合)、固定資産税などの税金、火災保険料など、どんな費用が、いつ、いくらくらいかかるのか。
- リフォームや修繕: 借りた(買った)後に、どこまでなら自由に改修して良いのか、建物の不具合があった場合の修繕は誰が行うのか、費用は誰が負担するのか。
これらの点は、物件を紹介してくれる不動産業者や大家さん、自治体の空き家バンク担当者に遠慮なく質問することが大切です。
困ったときに安心して相談できる窓口
一人で全てを判断するのは難しいものです。疑問や不安があれば、必ず誰かに相談しましょう。特にシニア世代の空き家活用を応援している窓口は増えています。
- 自治体の空き家バンク担当窓口: 空き家バンクに登録されている物件の情報だけでなく、その地域での暮らし全般に関する情報や、利用できる補助金制度について教えてくれることがあります。まずはこちらに相談してみるのが良いでしょう。
- 地元の不動産業者: 地域に根差した不動産業者は、物件の詳しい情報や地域の特性に詳しいため、頼りになります。
- 建築関係の専門家: 建物の傷み具合やリフォームにかかる費用について、専門的な視点からのアドバイスが欲しい場合は、建築士や工務店などに相談することも考えられます。(ただし、相談料がかかる場合もあります)
- 地域のNPOや移住・定住支援団体: 空き家活用や移住に関する相談会を開催していたり、経験者との交流の場を提供していたりする団体もあります。地域の情報に詳しい場合が多く、様々な相談に乗ってくれる心強い存在です。
焦らず、複数の窓口に相談してみることで、より安心して話を進めることができるでしょう。
まとめ:安心して空き家活用への一歩を踏み出すために
空き家を借りる・買う前の確認は、新しい暮らしを気持ちよくスタートさせるための大切な準備です。難しい専門知識は必要ありません。ご自身の目で見て気になる点をメモしたり、信頼できる相談相手を見つけたりすることから始めてみましょう。
疑問に思ったことはそのままにせず、自治体の窓口や地元の専門家、地域の支援団体などに遠慮なく質問してください。多くの場所で、親切に相談に乗ってくれるはずです。
この記事が、あなたの空き家を使った新しい暮らしへの一歩を、安心して踏み出すための一助となれば幸いです。