【シニア向け】空き家を地域の「お庭のお手入れ相談所」に:植物でつながる交流のヒント
庭の手入れ、大変になっていませんか?空き家を地域の交流場所に
地方(ちほう)で暮(く)らしていると、自宅(じたく)の庭(にわ)や畑(はたけ)の手入(てい)れに時間(じかん)や労力(ろうりょく)がかかることも多(おお)いかと存(ぞん)じます。「昔(むかし)のように動(うご)けなくなってきたけれど、手入(てい)れしないと荒(あ)れてしまう…」「この草(くさ)の名前(なまえ)は何(なに)?」「病気(びょうき)かな?誰(だれ)かに聞(き)きたいけれど、聞(き)く人(ひと)がいない」といったお悩(なや)みをお持(も)ちの方(かた)もいらっしゃるかもしれません。
もし、使(つか)っていない空(あ)き家(や)や、その庭(にわ)があるのでしたら、それを地域(ちいき)の人々(ひとびと)が集(あつ)まり、庭(にわ)や植物(しょくぶつ)のお手入(てい)れについて情報交換(じょうほうこうかん)したり、相談(そうだん)し合(あ)える「お庭(にわ)のお手入(てい)れ相談所(そうだんじょ)」として活用(かつよう)してみるのはいかがでしょうか。
この場所(ばしょ)は、専門家(せんもんか)がいなければ始(はじ)められないような大(おお)げさなものではありません。ご近所(きんじょ)さん同士(どうし)が気軽(きがる)に集(あつ)まり、知恵(ちえ)を分(わ)け合(あ)い、植物(しょくぶつ)を通(とお)じて楽(たの)しく交流(こうりゅう)できる、小(ちい)さな居場所(いばしょ)づくりです。
この記事(きじ)では、空(あ)き家(や)を「お庭(にわ)のお手入(てい)れ相談所(そうだんじょ)」として活用(かつよう)するアイデアと、シニア世代(せだい)の方(かた)が無理(むり)なく始(はじ)めるためのヒントをご紹介(しょうかい)いたします。
なぜ空き家が「お庭のお手入れ相談所」にぴったりなの?
空(あ)き家(や)を使(つか)うことには、いくつかメリットがあります。
- 場所(ばしょ)の確保(かくほ): 新(あたら)しく場所(ばしょ)を借(か)りる費用(ひよう)がかかりません。自宅(じたく)の空(あ)きスペースや庭(にわ)の一部(いちぶ)でも始(はじ)められます。
- 広(ひろ)さや庭(にわ)の活用(かつよう): 庭(にわ)付(つ)きの空(あ)き家(や)なら、実際(じっさい)に植物(しょくぶつ)を見(み)ながら話(はな)したり、簡単(かんたん)な実演(じつえん)をしたりするのに適(てき)しています。室内(しつない)があれば、雨(あめ)の日(ひ)でも活動(かつどう)できます。
- 地域(ちいき)への貢献(こうけん): 使(つか)われていない家(いえ)を活(い)かすことで、地域(ちいき)の景観(けいかん)を守(まも)ることにもつながります。
- 気兼(きが)ねない空間(くうかん): ご近所(きんじょ)同士(どうし)が集(あつ)まるのに、自宅(じたく)だとかえって気(き)を使(つか)うこともあります。空(あ)き家(や)なら、少(すこ)し離(はな)れた場所(ばしょ)で気楽(きらく)に集(あつ)まれます。
そして、この「お庭(にわ)のお手入(てい)れ相談所(そうだんじょ)」は、シニア世代(せだい)の方(かた)に特(とく)におすすめできます。
- 長年(ながねん)の経験(けいけん)を活(い)かせる: ご自身(じしん)の庭(にわ)仕事(しごと)や園芸(えんげい)の経験(けいけん)、地域(ちいき)の植物(しょくぶつ)についての知識(ちしき)を、地域(ちいき)の皆(みな)さんと分(わ)け合(あ)うことができます。
- 無理(むり)なく小(ちい)さく始(はじ)められる: 大(おお)きな投資(とうし)や専門的(せんもんてき)な知識(ちしき)は必要(ひつよう)ありません。得意(とくい)なこと、興味(きょうみ)のあること、困(こま)っていることを持(も)ち寄(よ)って始(はじ)められます。
- 地域(ちいき)との新(あたら)しいつながり: 同じ(おなじ)ような悩(なや)みや関心(かんしん)を持(も)つご近所(きんじょ)さんとの会話(かいわ)から、新(あたら)しい交流(こうりゅう)や助(たす)け合(あ)いが生まれます。
- 生(い)きがいづくり: 誰(だれ)かの役(やく)に立(た)つ、人(ひと)と交流(こうりゅう)する、新(あたら)しい発見(はっけん)があるといった経験(けいけん)は、毎日(まいにち)を豊(ゆた)かにしてくれます。
具体的にどんな活動をするの?
「お庭(にわ)のお手入(てい)れ相談所(そうだんじょ)」でできる活動(かつどう)の例(れい)をいくつかご紹介(しょうかい)します。難(むずか)しいことはありません。皆(みな)さんの「知(し)りたい」「教(おし)えたい」から生(う)まれる活動(かつどう)です。
- 季節(きせつ)のお手入(てい)れ情報交換会(じょうほうこうかんかい):
- 「そろそろバラの剪定(せんてい)の時期(じき)ね。どうやるのがいいのかしら?」
- 「夏野菜(なつやさい)は何(なに)を植(う)えるといい?」
- 「この時期(じき)に気(き)をつける病気(びょうき)や虫(むし)は?」
- といった、季節(きせつ)に合(あ)わせた手入(てい)れについて話(はな)し合(あ)います。
- 困(こま)りごと相談(そうだん)タイム:
- 参加者(さんかしゃ)が持(も)ち寄(よ)った「困(こま)りごと」について、皆(みな)で知恵(ちえ)を出(だ)し合(あ)います。
- 例(れい):「庭(にわ)の隅(すみ)に生(は)えているこの草(くさ)の名前(なまえ)は何(なに)?どうやったら駆除(くじょ)できる?」「うまく育(そだ)たない野菜(やさい)があるんだけど…」
- 簡単(かんたん)な道具(どうぐ)や資料(しりょう)の共有(きょうゆう):
- 皆(みな)が持(も)っている園芸(えんげい)の本(ほん)や雑誌(ざっし)、自治体(じちたい)が出(だ)している資料(しりょう)などを置(お)いて、自由(じゆう)に見(み)られるようにします。
- 簡単(かんたん)な手入(てい)れ道具(どうぐ)(例(れい):剪定(せんてい)ばさみ、シャベルなど)を置(お)いておき、使(つか)い方(かた)を教(おし)え合(あ)うこともできます。
- 種(たね)や苗(なえ)の交換会(こうかんかい):
- 余(あま)った種(たね)や、自分(じぶん)で育(そだ)てすぎた苗(なえ)などを、必要(ひつよう)な人(ひと)に譲(ゆず)ったり交換(こうかん)したりします。「うちにこの花(はな)があるけど、分(わ)けようか?」といったやり取(と)りも生まれます。
- 地域(ちいき)の植物(しょくぶつ)情報(じょうほう)の収集(しゅうしゅう):
- 「このあたりで育(そだ)てやすい植物(しょくぶつ)は?」「昔(むかし)からこの地域(ちいき)にある植物(しょくぶつ)は?」といった情報(じょうほう)を集(あつ)め、地域(ちいき)の植物図鑑(しょくぶつずかん)のようなものを作(つく)るのも楽(たの)しいかもしれません。
- お茶(ちゃ)を飲(の)みながらのおしゃべり:
- 何(なに)よりも大切(たいせつ)なのは、植物(しょくぶつ)を通(とお)じた気軽(きがる)な交流(こうりゅう)です。お茶(ちゃ)とお菓子(おかし)を用意(ようい)して、楽(たの)しく話(はな)す時間(じかん)を持(も)ちましょう。
どうやって始める?無理なく進めるためのステップ
大(おお)げさに考(かんが)える必要(ひつよう)はありません。小(ちい)さな一歩(いっぽ)から始(はじ)めましょう。
- ステップ1:空き家(あきや)を確認(かくにん)する
- 使(つか)っていない空(あ)き家(や)や、その庭(にわ)が、人(ひと)が集(あつ)まる場所(ばしょ)として使(つか)えそうか確認(かくにん)します。広(ひろ)すぎる必要(ひつよう)はありません。数人(すうにん)が座(すわ)って話(はな)せるスペースがあれば十分(じゅうぶん)です。庭(にわ)がある場合(ばあい)は、危険(きけん)な場所(ばしょ)がないか、簡単(かんたん)に片付(かたづ)けられるかなどを見(み)てみましょう。
- ステップ2:小(ちい)さな仲間(なかま)を見(み)つける
- まずはご近所(きんじょ)さんや、植物(しょくぶつ)や庭(にわ)仕事(しごと)に興味(きょうみ)がありそうな友(とも)だちに声(こえ)をかけてみましょう。一人(ひとり)で始(はじ)めるのは大変(たいへん)でも、数人(すうにん)いれば心強(こころづよ)く、アイデアも広(ひろ)がります。
- ステップ3:何(なに)をするか、無理(むり)のない範囲(はんい)で決(き)める
- 集(あつ)まってくれた人(ひと)たちと、どんな活動(かつどう)をしたいか話(はな)し合(あ)いましょう。「月(つき)に一度(いちど)、午前中(ごぜんちゅう)だけ集(あつ)まろう」「持(も)ち寄(よ)りで簡単(かんたん)にお茶(ちゃ)を飲(の)もう」など、皆(みな)が負担(ふたん)に感(かん)じないペースと内容(ないよう)で始(はじ)めることが大切(たいせつ)です。
- ステップ4:場所(ばしょ)を簡単(かんたん)に整(ととの)える
- 集(あつ)まる場所(ばしょ)に椅子(いす)やテーブルを用意(ようい)します。必(かなら)ずしも新(あたら)しいものでなくても構(かま)いません。家(いえ)にあるものを活用(かつよう)したり、使(つか)っていない物(もの)を譲(ゆず)ってもらったりできないか考(かんが)えましょう。庭(にわ)を使(つか)う場合(ばあい)は、簡単(かんたん)に掃(は)き掃除(そうじ)をするなど、安全(あんぜん)に気(き)をつけてください。
- ステップ5:周(まわ)りにお知(し)らせする
- 近所(きんじょ)の皆(みな)さんに「空(あ)き家(や)でこんなことを始(はじ)めるよ」と声(こえ)をかけたり、回覧板(かいらんばん)や地域(ちいき)の掲示板(けいじばん)に貼(は)り紙(がみ)をするなど、デジタルが苦手(にがて)でも伝(つた)わる方法(ほうほう)でお知(し)らせします。
- ステップ6:始(はじ)めてみる!
- 最初(さいしょ)から完璧(かんぺき)を目指(めざ)す必要(ひつよう)はありません。集(あつ)まって、お茶(ちゃ)を飲(の)みながら話(はな)してみることから始(はじ)めましょう。活動(かつどう)しながら、少(すこ)しずつ内容(ないよう)を工夫(くふう)していくことができます。
活動(かつどう)を続(つづ)けるためのポイント
- 無理(むり)は禁物(きんもつ): あくまで楽(たの)しみながら、体(からだ)に負担(ふたん)のない範囲(はんい)で続(つづ)けましょう。調子(ちょうし)が悪(わる)い時(とき)はお休(やす)みするなど、柔軟(じゅうなん)に対応(たいおう)します。
- 皆(みな)さんの意見(いけん)を聞(き)く: 参加(さんか)してくれる方(かた)が、どんなことに興味(きょうみ)があるか、どんなことを知(し)りたいかを聞(き)きながら、活動(かつどう)内容(ないよう)を考(かんが)えていくと、皆(みな)が楽(たの)しめる場所(ばしょ)になります。
- 知(し)らないことは皆(みな)で調(しら)べる: 全(すべ)ての質問(しつもん)に答(こた)えられる必要(ひつよう)はありません。「それはどうだろうね?」「一緒(いっしょ)に図書館(としょかん)で調(しら)べてみようか?」といった姿勢(しせい)も大切(たいせつ)です。地域(ちいき)の図書館(としょかん)には園芸(えんげい)の本(ほん)がたくさんあります。
- 地域(ちいき)の人(ひと)との関係(かんけい): 空(あ)き家(や)を使(つか)うことを、ご近所(きんじょ)の皆(みな)さんに理解(りかい)してもらうことが大切(たいせつ)です。騒音(そうおん)などに配慮(はいりょ)し、皆(みな)が気持(きも)ちよく過(す)ごせるように心(こころ)がけましょう。
- 費用(ひよう)について: 基本的(きほんてき)には、お茶代(ちゃだい)や資料(しりょう)のコピー代(だい)など、少額(しょうがく)の費用(ひよう)で運営(うんえい)できます。参加費(さんかひ)を無料(むりょう)にするか、少額(しょうがく)のお茶菓子代(ちゃがしだい)を募(つの)るかなど、参加者(さんかしゃ)と話(はな)し合(あ)って決(き)めましょう。大(おお)きな改修(かいしゅう)が必要(ひつよう)な場合(ばあい)は費用(ひよう)がかかりますが、まずはできる範囲(はんい)でDIY(手作(てづく)り)したり、専門業者(せんもんぎょうしゃ)に頼(たの)むほどではない簡単(かんたん)な修繕(しゅうぜん)で済(す)むように工夫(くふう)できないか考(かんが)えます。大規模(だいきぼ)な改修(かいしゅう)や事業(じぎょう)に対(たい)する補助金(ほじょきん)はありますが、まずは無理(むり)なく自己資金(じこしきん)で始(はじ)められる範囲(はんい)で考(かんが)えることをおすすめします。
空き家活用で得られる豊(ゆた)かな暮らし
空(あ)き家(や)を「お庭(にわ)のお手入(てい)れ相談所(そうだんじょ)」として活用(かつよう)することは、地域(ちいき)の皆(みな)さんの困(こま)りごとを解決(かいけつ)するだけでなく、ご自身(じしん)の暮(く)らしにもたくさんの豊(ゆた)かさをもたらしてくれるでしょう。
- 植物(しょくぶつ)を通(とお)じた新(あたら)しい学(まな)びや発見(はっけん)
- 地域(ちいき)の人々(ひとびと)との温(あたた)かい交流(こうりゅう)
- 誰(だれ)かの役(やく)に立(た)つという生(い)きがい
- 庭仕事(にわしごと)や植物(しょくぶつ)に触(ふ)れることでの心身(しんしん)のリフレッシュ
「難(むずか)しそう」と思(おも)わずに、まずはご近所(きんじょ)さんとお茶(ちゃ)を飲(の)みながら、「庭(にわ)のこと、話(はな)し合(あ)える場所(ばしょ)があったらいいわね」と話(はな)してみることから始(はじ)めてみてください。
もし、空(あ)き家(や)の活用(かつよう)について、何(なに)から始(はじ)めたらいいか分(わ)からない場合(ばあい)は、お住(す)まいの自治体(じちたい)の空(あ)き家(や)担当窓口(たんとうまどぐち)や、移住(いじゅう)・定住(ていじゅう)の相談窓口(そうだんまどぐち)に相談(そうだん)してみるのも良(よ)いでしょう。地域(ちいき)のNPO(特定非営利活動法人(とくていひえいりかつどうほうじん))などが、地域(ちいき)活動(かつどう)の支援(しえん)を行(おこな)っている場合(ばあい)もあります。
小(ちい)さな一歩(いっぽ)が、きっと地域(ちいき)との新(あたら)しいつながりや、心(こころ)満(み)たされる日々(ひび)につながっていくはずです。