空き家で始める買い物サポート拠点:地域の困りごとを解決する小さな助け合い
地域の「買い物に困る」を解決する空き家活用のアイデア
地方での暮らしは、豊かな自然や人との温かい繋がりが魅力ですが、一方で生活に不便を感じることもあります。特に「買い物」は、高齢化や公共交通機関の減少に伴い、多くの方が困りごととして挙げています。
「近くにスーパーがない」「運転ができなくなった」「重い荷物を運べない」といった悩みをお持ちの方は少なくありません。このような地域の困りごとを、ご自身の空き家を活用して解決する「買い物サポート拠点」という小さな活動をご紹介します。
これは、大がかりな事業ではなく、地域の皆さんとの助け合いから生まれる、無理なくできるセカンドライフの生きがいになるアイデアです。
買い物サポート拠点とは、どんな活動?
買い物サポート拠点とは、空き家の一部などを活用して、地域の皆さんの「買いたい」という気持ちをサポートする場所のことです。例えば、以下のような活動が考えられます。
- 共同購入品の受け渡し場所: インターネットスーパーやカタログ販売で注文した商品を、まとめて空き家で受け取り、地域の方々に配布する。
- 注文の取りまとめ: 地域の方々からの注文をまとめて、まとめて業者に発注するお手伝いをする。デジタルが苦手な方の代わりにインターネットで注文するなど。
- 移動販売の停車場所: 地域の移動販売車に声かけをして、空き家の敷地を停車場所として提供する。
- 地域情報の発信・交流の場: 買い物情報だけでなく、地域の様々な情報交換やちょっとしたお茶飲み場としても機能させる。
このように、空き家を単なるモノの受け渡し場所としてだけでなく、人が集まり、情報が共有される「地域のハブ」のような場所にすることで、買い物だけでなく、地域全体の活性化にも繋がります。
なぜ空き家で買い物サポート拠点?
買い物サポート拠点に空き家を活用することには、いくつかのメリットがあります。
- 集まりやすい場所: 地方では、人通りが減った場所でも、かつて地域の人々が集まっていた家であれば、自然と人が集まりやすい「顔見知りになれる場所」になり得ます。
- スペースの活用: 商品を一時的に保管したり、共同購入の注文票を置いたり、人々が集まるためのスペースとして空き家の一部を活用できます。使っていない部屋や玄関先、庭なども活用できるかもしれません。
- 低コストでの開始: 新たに場所を借りたり建物を建てたりする必要がないため、初期費用を抑えて活動を始めることができます。
- 自宅兼拠点: ご自身が住んでいる空き家の一部を使えば、無理なく日々の暮らしの延長として活動できます。
活動を始めるためのステップ
さて、「自分にもできるかもしれない」と思われた方へ、具体的にどのようなステップで進められるかをご紹介します。
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地域のニーズを知る: まずは、お住まいの地域で「買い物に困っているのはどんな人か」「具体的に何に困っているのか(食料品?日用品?重いもの?)」を調べてみましょう。近所の方に聞いてみたり、自治体の地域包括支援センターや社会福祉協議会に相談してみるのも良い方法です。
- どこでどんなものが買えると助かるか?
- 何曜日の何時頃だと都合が良いか?
- デジタルでの注文に抵抗はないか?
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空き家の準備: 活動場所として使う空き家の一部を決めます。大がかりな改修は必要ありません。例えば、以下のような準備で十分かもしれません。
- 共同購入品の受け渡しに使う部屋や玄関の掃除、整理。
- 人が集まる場合の簡単な椅子の設置。
- 商品の受け取りに必要なテーブルや棚の準備。
- 必要であれば、簡単な看板や案内表示の設置(ご近所の了解を得て)。
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活動内容を決める: ニーズに合わせて、無理なく続けられる活動内容を具体的に決めます。
- どの業者の商品を取り扱うか(インターネットスーパー、地域の商店、生協など)。
- どのくらいの頻度で行うか(週に一度、月に数回など)。
- 商品の受け渡し時間や、注文の締め切り時間。
- どのように地域の人に知らせるか(回覧板、口コミ、地域の集まりで告知など)。
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地域との連携や相談: 一人で抱え込まず、地域の様々な方々と連携することが大切です。
- 自治体: 地域課題に関心があるか、何か支援制度がないか相談できます。空き家活用の相談窓口や、地域活動を支援する部署がある場合もあります。
- 社会福祉協議会: 高齢者や地域住民の困りごとに関する専門知識があり、様々な活動をサポートしています。地域のボランティア活動などにも詳しいです。
- 地域の商店やNPO: 既存の商店と連携したり、地域活性化に取り組む団体に協力を仰いだりすることで、活動の幅が広がります。
- 民生委員さん: 地域住民の状況を把握されており、困っている方とあなたを繋いでくれる可能性があります。
資金については、最初は場所の提供と簡単な運営だけであれば、大きな費用はかかりません。もし活動を広げる場合に補助金などを検討したい場合は、自治体や社会福祉協議会に相談してみると良いでしょう。
活動を通じて得られるもの
買い物サポート拠点のような活動は、経済的な大きな利益を生むものではないかもしれませんが、それ以上に大切なものをたくさん得られます。
- 地域への貢献: 困っている人の役に立てる喜びは、何物にも代えがたい生きがいになります。
- 人との繋がり: 活動を通じて、地域の人々との新しい交流が生まれます。おしゃべりしたり、お互いの近況を知ったりする中で、孤立を防ぎ、日々の暮らしに彩りが生まれます。
- 自分自身の生きがい: 誰かに必要とされていると感じられることは、セカンドライフを豊かにし、毎日を活動的に過ごす原動力になります。
- 空き家の有効活用: 使わずに眠らせていた空き家が、地域に役立つ場所として息を吹き返します。
始める上での注意点
活動をスムーズに続けるために、いくつか注意しておきたい点があります。
- 無理なく続ける: 最初に張り切りすぎず、ご自身の体力や時間を考えて、無理のない範囲で始めることが大切です。活動内容や頻度は、始めてから調整しても良いでしょう。
- 責任範囲を明確に: 「どこまでサポートするのか」「何に責任を持つのか」を、関わる方々との間で明確にしておくと、後々のトラブルを防げます。例えば、商品の不良については販売業者に問い合わせてもらう、といったルールなどです。
- 地域住民との関係: 地域の皆さんとの良好な関係を築くことが、活動を続けていく上で最も重要です。日頃からの挨拶や声かけを大切にしましょう。
まずは地域の相談窓口へ
「買い物サポート拠点、面白そうだけど、自分一人でできるか不安だわ」と感じられた方もいらっしゃるかもしれません。
そんな時は、まずは地域包括支援センターや社会福祉協議会、お住まいの自治体の地域づくりに関する部署などに相談してみてください。地域の専門家や、同じように地域のために活動している方々から、具体的なアドバイスや協力が得られる可能性があります。
空き家という資産を、地域の困りごと解決のために活用することは、ご自身のセカンドライフを豊かにする素晴らしい方法の一つです。小さな一歩から、地域の助け合いを始めてみませんか。