地方暮らしビジネス図鑑

空き家を活かして地域で助け合い:ご近所さんの荷物預かり・共有スペース

Tags: 空き家活用, 地域交流, 助け合い, 小規模活動, セカンドライフ

はじめに:使わないものの置き場所、困っていませんか?

地方での新しい暮らしを考える中で、ご自宅やご実家で使っていない空き家(あきや)や、その一部の活用(かつよう)に思いを巡らせている方もいらっしゃるかと思います。

同時に、ご自身の持ち物や、地域(ちいき)のご近所(ごきんじょ)の方々が、使わないけれどすぐに手放せないもの、一時的に置いておきたいものなどの置き場所(おきばしょ)に困っている、という声を聞くことがあるかもしれません。

そんな「使わないものの置き場所がない」という地域のちょっとした困りごとを、空き家の一部を活用することで解決し、さらに地域(ちいき)の方々とのつながりを深めるアイデアがあります。それが「ご近所さんの荷物(にもつ)預かり(あずかり)・共有(きょうゆう)スペース」です。

空き家で始める「ご近所さんの荷物預かり・共有スペース」とは

このアイデアは、広い空き家や使っていない蔵(くら)、物置(ものおき)など、空き家の一部を有効(ゆうこう)活用して、次のような場所を提供するものです。

  1. ご近所さんの「一時預かり」スペース:

    • 建て替え(たてかえ)やリフォームの期間だけ、家財(かざい)の一部を一時的に置いておきたい。
    • 季節(きせつ)の道具(どうぐ)や大きな荷物(スーツケースなど)で、自宅(じたく)では場所をとってしまう。
    • 思い出(おもいで)の品(しな)で、すぐに捨(す)てられないけれど、家に置いておくスペースがない。
    • このようなご近所さんの個人的(こじんてき)な荷物(にもつ)を、空き家の一部で一時的に預かる場所です。
  2. 地域の「共有物置(きょうゆうものおき)」スペース:

    • 地域(ちいき)の皆(みな)さんで一緒に使う農具(のうぐ)や道具(どうぐ)。
    • お祭(おまつ)りや地域行事(ちいきぎょうじ)で使う道具(どうぐ)。
    • 電動工具(でんどうこうぐ)など、頻繁(ひんぱん)には使わないけれど、あると便利(べんり)なもの。
    • このような、地域の皆(みな)さんで共有(きょうゆう)したいものを置いておき、必要(ひつよう)な人が使える場所です。

どちらも、大掛(おおが)かりな改修(かいしゅう)や複雑(ふくざつ)な手続き(てつづき)は必要(ひつよう)なく、空き家の一部を整理(せいり)することから始められる、比較(ひかく)的低(ひかくていひく)いリスクで始められる地域貢献(ちいきこうけん)にもつながる活動(かつどう)です。

なぜこの活動が地方で役立つのか?

地方(ちほう)では、世代交代(せだいこうたい)やライフスタイルの変化(へんか)により、使われなくなった家や建物(たてもの)が増(ふ)えています。同時に、ご近所(ごきんじょ)同士(どうし)のつながりが希薄(きはく)になっている地域(ちいき)もあります。

このような状況(じょうきょう)で「ご近所さんの荷物預かり・共有スペース」を始めることには、いくつかの良い点があります。

具体的な始め方:無理なく、小さく一歩を踏み出す

大(おお)きく始(はじ)める必要(ひつよう)はありません。まずは無理(むり)なく、できる範囲(はんい)で小(ちい)さく始(はじ)めることを考(かんが)えましょう。

  1. 活用の範囲(はんい)を決(き)める: 空き家(あきや)のどの部分(ぶぶん)を使(つか)うか(例:物置(ものおき)だけ、使(つか)っていない部屋(へや)の一角(いっかく)だけなど)、保管(ほかん)できる量(りょう)はどれくらいかを決(き)めます。
  2. 預(あずか)るもの・共有(きょうゆう)するものを限定(げんてい)する: 最初(さいしょ)から何(なん)でも引(ひ)き受(う)けるのではなく、季節(きせつ)用品(ようひん)だけ、農具(のうぐ)だけ、など、特定(とくてい)の種類(しゅるい)に絞(しぼ)ると管理(かんり)がしやすくなります。壊(こわ)れやすいもの、高価(こうか)なもの、飲食物(いんしょくぶつ)や危険物(きけんぶつ)などは最初(さいしょ)から対象外(たいしょうがい)とするなど、ルールを決(き)めておくことが大切(たいせつ)です。
  3. 簡単な利用(りよう)ルールを決(き)める: 誰(だれ)が使(つか)えるか(ご近所(ごきんじょ)さん限定(げんてい)など)、利用(りよう)したい時(とき)はどうすればいいか(声(こえ)をかける、連絡帳(れんらくちょう)に書(か)くなど)、利用料(りようりょう)は必要(ひつよう)か(無料(むりょう)か、維持管理費程度(いじかんりひていど)かなど)を簡単(かんたん)に決(き)めておきます。最初(さいしょ)は無理(むり)のない範囲(はんい)で、謝礼(しゃれい)を受(う)け取(と)らず、地域(ちいき)への貢献(こうけん)として始(はじ)めることもできます。
  4. 保管場所(ほかんばしょ)を整(ととの)える: 預(あずか)るものに応(おう)じて、簡単(かんたん)な棚(たな)を用意(ようい)したり、湿気(しっけ)や害虫対策(がいちゅうたいさく)をしたりと、最低限(さいていげん)の環境(かんきょう)を整(ととの)えます。
  5. 地域(ちいき)の方々(かたがた)に知(し)らせる: 近所(きんじょ)の方(かた)に直接(ちょくせつ)声(こえ)をかける、回覧板(かいらんばん)を使(つか)う、地域(ちいき)の集(あつ)まりで話(はな)すなどして、このような活動(かつどう)を始(はじ)めることを知(し)らせます。

活動(かつどう)を続(つづ)ける上(うえ)での注意点(ちゅういてん)

不安(ふあん)や疑問(ぎもん)があれば、まずは相談(そうだん)してみましょう

「自分(じぶん)にできるだろうか」「何(なに)から始(はじ)めればいいか分(わ)からない」と不安(ふあん)に思(おも)うこともあるかもしれません。そんな時(とき)は、一人(ひとり)で抱(かか)え込(こ)まずに、地域(ちいき)の方々(かたがた)や専門家(せんもんか)に相談(そうだん)してみることをお勧(すす)めします。

まとめ:地域(ちいき)に根差(ねざ)した温(あたた)かい活動(かつどう)

空き家(あきや)の一部(いちぶ)を使(つか)った「ご近所さんの荷物(にもつ)預(あずか)り・共有(きょうゆう)スペース」は、大(おお)きな利益(りえき)を追求(ついきゅう)するビジネスというよりは、地域(ちいき)の中(なか)での小(ちい)さな助け合い(たすけあい)であり、人(ひと)と人(ひと)とのつながりを育(はぐく)む温(あたた)かい活動(かつどう)です。

使(つか)っていない場所(ばしょ)を地域(ちいき)のために開(ひら)くことで、ご自身(じしん)も地域(ちいき)の一員(いちいん)としての役割(やくわり)を見(み)つけ、新(あたらしい)しい生(い)きがいや喜(よろこ)びにつながっていくことでしょう。

まずは、周(まわ)りの方(かた)に声(こえ)をかけることから、小(ちい)さく一歩(いっぽ)を踏(ふ)み出(だ)してみてはいかがでしょうか。