空き家を活かして地域で助け合い:ご近所さんの荷物預かり・共有スペース
はじめに:使わないものの置き場所、困っていませんか?
地方での新しい暮らしを考える中で、ご自宅やご実家で使っていない空き家(あきや)や、その一部の活用(かつよう)に思いを巡らせている方もいらっしゃるかと思います。
同時に、ご自身の持ち物や、地域(ちいき)のご近所(ごきんじょ)の方々が、使わないけれどすぐに手放せないもの、一時的に置いておきたいものなどの置き場所(おきばしょ)に困っている、という声を聞くことがあるかもしれません。
そんな「使わないものの置き場所がない」という地域のちょっとした困りごとを、空き家の一部を活用することで解決し、さらに地域(ちいき)の方々とのつながりを深めるアイデアがあります。それが「ご近所さんの荷物(にもつ)預かり(あずかり)・共有(きょうゆう)スペース」です。
空き家で始める「ご近所さんの荷物預かり・共有スペース」とは
このアイデアは、広い空き家や使っていない蔵(くら)、物置(ものおき)など、空き家の一部を有効(ゆうこう)活用して、次のような場所を提供するものです。
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ご近所さんの「一時預かり」スペース:
- 建て替え(たてかえ)やリフォームの期間だけ、家財(かざい)の一部を一時的に置いておきたい。
- 季節(きせつ)の道具(どうぐ)や大きな荷物(スーツケースなど)で、自宅(じたく)では場所をとってしまう。
- 思い出(おもいで)の品(しな)で、すぐに捨(す)てられないけれど、家に置いておくスペースがない。
- このようなご近所さんの個人的(こじんてき)な荷物(にもつ)を、空き家の一部で一時的に預かる場所です。
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地域の「共有物置(きょうゆうものおき)」スペース:
- 地域(ちいき)の皆(みな)さんで一緒に使う農具(のうぐ)や道具(どうぐ)。
- お祭(おまつ)りや地域行事(ちいきぎょうじ)で使う道具(どうぐ)。
- 電動工具(でんどうこうぐ)など、頻繁(ひんぱん)には使わないけれど、あると便利(べんり)なもの。
- このような、地域の皆(みな)さんで共有(きょうゆう)したいものを置いておき、必要(ひつよう)な人が使える場所です。
どちらも、大掛(おおが)かりな改修(かいしゅう)や複雑(ふくざつ)な手続き(てつづき)は必要(ひつよう)なく、空き家の一部を整理(せいり)することから始められる、比較(ひかく)的低(ひかくていひく)いリスクで始められる地域貢献(ちいきこうけん)にもつながる活動(かつどう)です。
なぜこの活動が地方で役立つのか?
地方(ちほう)では、世代交代(せだいこうたい)やライフスタイルの変化(へんか)により、使われなくなった家や建物(たてもの)が増(ふ)えています。同時に、ご近所(ごきんじょ)同士(どうし)のつながりが希薄(きはく)になっている地域(ちいき)もあります。
このような状況(じょうきょう)で「ご近所さんの荷物預かり・共有スペース」を始めることには、いくつかの良い点があります。
- 地域(ちいき)の困りごとを解決(かいけつ)できる: 使わないものの置き場所がない、という身近(みぢか)な課題(かだい)を、空き家を活用して解決(かいけつ)できます。
- 地域住民(ちいきじゅうみん)との交流(こうりゅう)が生まれる: 荷物(にもつ)の受(う)け渡(わた)しや、共有(きょうゆう)する道具(どうぐ)の利用(りよう)などを通(つう)じて、自然(しぜん)とご近所(ごきんじょ)の方々(かたがた)と顔(かお)を合(あ)わせ、会話(かいわ)をする機会(きかい)が生まれます。
- 空き家(あきや)の管理(かんり)や維持(いじ)につながる: 使われていなかった場所(ばしょ)に人(ひと)が出入(でい)りすることで、空気(くうき)が動(うご)き、建物(たてもの)の状態(じょうたい)を把握(はあく)しやすくなります。簡単な掃除(そうじ)や手入(てい)れをするきっかけにもなります。
- 地域(ちいき)での役割(やくわり)や生(い)きがいを見(み)つけられる: 誰(だれ)かの役(やく)に立(た)つ、地域(ちいき)に貢献(こうけん)できるという実感(じっかん)は、大(おお)きな喜(よろこ)びや生(い)きがいにつながります。
具体的な始め方:無理なく、小さく一歩を踏み出す
大(おお)きく始(はじ)める必要(ひつよう)はありません。まずは無理(むり)なく、できる範囲(はんい)で小(ちい)さく始(はじ)めることを考(かんが)えましょう。
- 活用の範囲(はんい)を決(き)める: 空き家(あきや)のどの部分(ぶぶん)を使(つか)うか(例:物置(ものおき)だけ、使(つか)っていない部屋(へや)の一角(いっかく)だけなど)、保管(ほかん)できる量(りょう)はどれくらいかを決(き)めます。
- 預(あずか)るもの・共有(きょうゆう)するものを限定(げんてい)する: 最初(さいしょ)から何(なん)でも引(ひ)き受(う)けるのではなく、季節(きせつ)用品(ようひん)だけ、農具(のうぐ)だけ、など、特定(とくてい)の種類(しゅるい)に絞(しぼ)ると管理(かんり)がしやすくなります。壊(こわ)れやすいもの、高価(こうか)なもの、飲食物(いんしょくぶつ)や危険物(きけんぶつ)などは最初(さいしょ)から対象外(たいしょうがい)とするなど、ルールを決(き)めておくことが大切(たいせつ)です。
- 簡単な利用(りよう)ルールを決(き)める: 誰(だれ)が使(つか)えるか(ご近所(ごきんじょ)さん限定(げんてい)など)、利用(りよう)したい時(とき)はどうすればいいか(声(こえ)をかける、連絡帳(れんらくちょう)に書(か)くなど)、利用料(りようりょう)は必要(ひつよう)か(無料(むりょう)か、維持管理費程度(いじかんりひていど)かなど)を簡単(かんたん)に決(き)めておきます。最初(さいしょ)は無理(むり)のない範囲(はんい)で、謝礼(しゃれい)を受(う)け取(と)らず、地域(ちいき)への貢献(こうけん)として始(はじ)めることもできます。
- 保管場所(ほかんばしょ)を整(ととの)える: 預(あずか)るものに応(おう)じて、簡単(かんたん)な棚(たな)を用意(ようい)したり、湿気(しっけ)や害虫対策(がいちゅうたいさく)をしたりと、最低限(さいていげん)の環境(かんきょう)を整(ととの)えます。
- 地域(ちいき)の方々(かたがた)に知(し)らせる: 近所(きんじょ)の方(かた)に直接(ちょくせつ)声(こえ)をかける、回覧板(かいらんばん)を使(つか)う、地域(ちいき)の集(あつ)まりで話(はな)すなどして、このような活動(かつどう)を始(はじ)めることを知(し)らせます。
活動(かつどう)を続(つづ)ける上(うえ)での注意点(ちゅういてん)
- 物(もの)の管理(かんり)と責任(せきにん): 預(あずか)った物(もの)が破損(はそん)したり無(な)くなったりした場合(ばあい)の対応(たいおう)について、あらかじめ考(かんが)えておく必要(ひつよう)があります。重要(じゅうよう)なもの、高価(こうか)なものは預(あずか)らない、というルールを明確(めいかく)にしておくことがトラブル防止(ぼうし)につながります。
- 保管環境(ほかんかんきょう)の維持(いじ): 預(あずか)る物(もの)の種類(しゅるい)によっては、湿度(しつど)や温度(おんど)の管理(かんり)が重要(じゅうよう)になります。定期(ていき)的に換気(かんき)したり、必要(ひつよう)であれば除湿剤(じょしつざい)を使(つか)うなどの工夫(くふう)が必要(ひつよう)です。
- 利用者(りようしゃ)とのコミュニケーション: 利用(りよう)する方々(かたがた)との間(あいだ)で、預(あずか)る期間(きかん)や利用(りよう)ルールについて、誤解(ごかい)がないように丁寧(ていねい)に説明(せつめい)することが大切(たいせつ)です。簡単(かんたん)な利用記録(りようきろく)をつけるのも良いでしょう。
不安(ふあん)や疑問(ぎもん)があれば、まずは相談(そうだん)してみましょう
「自分(じぶん)にできるだろうか」「何(なに)から始(はじ)めればいいか分(わ)からない」と不安(ふあん)に思(おも)うこともあるかもしれません。そんな時(とき)は、一人(ひとり)で抱(かか)え込(こ)まずに、地域(ちいき)の方々(かたがた)や専門家(せんもんか)に相談(そうだん)してみることをお勧(すす)めします。
- お住(す)まいの自治体(じちたい)の窓口(まどぐち): 空き家活用(あきやかつよう)に関する情報(じょうほう)や相談先(そうだんさき)について尋(たず)ねることができます。
- 地域(ちいき)の社会福祉協議会(しゃかいふくしきょうぎかい)やNPO: 地域(ちいき)の困(こま)りごと解決(かいけつ)や住民(じゅうみん)交流(こうりゅう)に関(かん)する活動(かつどう)を行(おこな)っている場合(ばあい)があり、良(よ)いアドバイスがもらえるかもしれません。
- 近所(きんじょ)の方々(かたがた): 普段(ふだん)からお付(つ)き合(あ)いのあるご近所(ごきんじょ)の方々(かたがた)に、アイデアを話(はな)してみるのも良(よ)いでしょう。地域(ちいき)のニーズを知(し)るきっかけにもなりますし、協力者(きょうりょくしゃ)が見(み)つかるかもしれません。
まとめ:地域(ちいき)に根差(ねざ)した温(あたた)かい活動(かつどう)
空き家(あきや)の一部(いちぶ)を使(つか)った「ご近所さんの荷物(にもつ)預(あずか)り・共有(きょうゆう)スペース」は、大(おお)きな利益(りえき)を追求(ついきゅう)するビジネスというよりは、地域(ちいき)の中(なか)での小(ちい)さな助け合い(たすけあい)であり、人(ひと)と人(ひと)とのつながりを育(はぐく)む温(あたた)かい活動(かつどう)です。
使(つか)っていない場所(ばしょ)を地域(ちいき)のために開(ひら)くことで、ご自身(じしん)も地域(ちいき)の一員(いちいん)としての役割(やくわり)を見(み)つけ、新(あたらしい)しい生(い)きがいや喜(よろこ)びにつながっていくことでしょう。
まずは、周(まわ)りの方(かた)に声(こえ)をかけることから、小(ちい)さく一歩(いっぽ)を踏(ふ)み出(だ)してみてはいかがでしょうか。