空き家を自分で直して使う(DIY):セカンドライフの住まいを楽しく作るヒント
空き家を自分で直して使う(DIY):セカンドライフの住まいを楽しく作るヒント
地方で空き家を見つけて「これから新しい暮らしを始めたい」とお考えの方にとって、建物の改修(かいしゅう)は避けて通れない課題かもしれません。専門業者(せんもんぎょうしゃ)に全てお願いすると費用がかかるため、躊躇(ためら)うこともあるでしょう。
そこで今回は、「自分でできる範囲で空き家を直してみる」、いわゆるDIY(ディー・アイ・ワイ:Do It Yourselfの略)という方法に焦点を当ててご紹介します。DIYは費用を抑えられるだけでなく、新しい暮らしの楽しみや生きがいにもつながる素晴らしい選択肢となり得ます。
なぜ空き家DIYがセカンドライフにおすすめなのか?
セカンドライフの新たな拠点(きょてん)として空き家を選ぶ際に、DIYを取り入れることには、いくつかの大きな魅力があります。
- 費用を抑えられる: 専門業者に全て依頼するより、材料費(ざいりょうひ)だけで済む部分が多くなり、改修費用を抑えることができます。
- 自分好みの空間を作れる: 業者任せにするのではなく、自分の手で理想の住まいを作り上げていく喜びがあります。「ここに棚がほしいな」「壁の色を変えたいな」といった希望を、自分のペースで実現できます。
- 趣味や生きがいになる: 作業そのものが良い運動になったり、新しい技術を学んだりすることにつながります。完成した時の達成感(たっせいかん)は、何物にも代えがたいものです。
- 地域との交流が生まれる可能性: DIYの様子を見た地域の方が声をかけてくれたり、アドバイスをくれたりすることもあります。道具の貸し借りなど、地域とのつながりが生まれるきっかけにもなります。
- 家の状態を深く理解できる: 自分で手を加えることで、家の構造や状態をより深く知ることができます。メンテナンスが必要な箇所(かしょ)に気づきやすくなるという利点もあります。
DIYでどこまでできる?無理のない範囲を考える
DIYと聞くと、全て自分でやらなければいけないと思われがちですが、そうではありません。まずは無理のない範囲から始めるのが大切です。
たとえば、こんなことなら、初心者(しょしんしゃ)でも比較的取り組みやすいでしょう。
- 壁や天井(てんじょう)のペンキ塗り: 部屋の雰囲気を大きく変えられます。
- 壁紙(かべがみ)やクロス貼り: 最近は簡単に貼れるタイプのものが増えています。
- 床(ゆか)の張り替え: クッションフロアやタイルカーペットなら比較的簡単です。フローリングも、難易度(なんいど)は上がりますが挑戦可能です。
- 簡単な棚(たな)や家具作り: ホームセンターで材料を揃えて作ることができます。
- 襖(ふすま)や障子(しょうじ)の張り替え: 伝統的(でんとうてき)な技術ですが、キットなども販売されています。
- 庭の手入れ: 草むしり、植木の手入れ、簡単なウッドデッキ作りなど。
一方、水回りの配管工事(はいかんこうじ)、電気配線(でんきはいせん)、建物の構造に関わる壁の撤去(てっきょ)や増築(ぞうちく)、屋根の修理(やねのしゅうり)などは、専門的な知識や資格(しかく)が必要な場合が多く、安全面からもプロに依頼するのが安心です。まずは「自分でできそうな小さなことから」という気持ちで始めてみましょう。
DIYを始める前に確認すること
始める前に、いくつかの点をしっかり確認しておくことが大切です。
- 家の状態を把握(はあく)する: 雨漏り(あまもり)はないか、床下の湿気(しっけ)はどうか、シロアリ被害(ひがい)はないかなど、建物の状態を専門家(建築士など)に見てもらうことを強くおすすめします。DIYでは対応できないような大きな問題が見つかることもあります。
- 安全性(あんぜんせい)の確認: 作業する場所の安全性(足場、電気など)を確認します。特に古い家では注意が必要です。
- 改修の計画を立てる: どこをどのように直したいのか、リストアップします。必要な材料や工具、手順(てじゅん)を調べ、実現可能か考えます。いきなり全てを完璧にしようとせず、優先順位(ゆうせんじゅんい)をつけることが成功の秘訣(ひけつ)です。
- 費用(ひよう)の目安を調べる: 材料費や工具代など、おおよその費用を調べます。ホームセンターの店員さんに相談するのも良いでしょう。
- 近隣(きんりん)への配慮(はいりょ): 大きな音が出る作業や、塗料(とりょう)の臭い(におい)などが出る場合は、事前にご近所(ごきんじょ)に一声かけておくと、後々の関係が円滑(えんかつ)になります。
具体的なDIYのステップ例(壁のペンキ塗り)
比較的簡単な壁のペンキ塗りを例に、DIYの基本的なステップをご紹介します。
- 準備:
- 必要な道具(ペンキ、ローラー、刷毛(はけ)、マスキングテープ、養生シート(ようじょうシート)、バケツ、手袋など)を揃えます。ホームセンターで必要なものや使い方を尋ねるのが一番です。
- 作業する箇所の周りの家具などを移動させ、床や家具が汚れないように養生シートや新聞紙でしっかり覆(おお)います。
- 塗る面の汚れを拭き取ったり、ひび割れがあれば補修材(ほしゅうざい)で埋(う)めたりします。
- 塗装(とそう):
- ペンキ缶の注意書きをよく読み、必要に応じて薄(うす)めます。
- 端(はし)や角(かど)は刷毛を使い、広い面はローラーを使って塗ります。
- 一度に厚く塗ろうとせず、薄く均一(きんいつ)に塗るのがコツです。
- 一度塗り目が乾いたら、必要に応じて二度塗りをします。
- 片付け:
- ペンキが完全に乾く前にマスキングテープや養生シートを剥(は)がします。
- 使った道具は、ペンキの種類(水性か油性か)に合わせて洗い、片付けます。
このように、一つ一つの作業は、丁寧にやればどなたでも挑戦できるものです。
DIYで知っておきたい注意点
- 安全第一: 高い場所での作業や、電動工具(でんどうこうぐ)を使う際は、転倒(てんとう)や怪我(けが)に十分注意し、無理は絶対にしないようにしましょう。手袋やゴーグルなどの安全具(あんぜんぐ)を着用します。
- 建築法規(けんちくほうき)の確認: 大規模な増改築(ぞうかいちく)や用途変更(ようとへんこう:住居を店舗にするなど)を行う場合は、建築基準法(けんちくきじゅんほう)などの法律(ほうりつ)に関わる手続きが必要になることがあります。事前に自治体の建築指導課(けんちくしどうか)などに相談することをおすすめします。
- プロに任せる勇気も必要: 難しい作業や危険な作業は、無理せずプロに依頼することも大切です。全てを自分でやろうと意気込(いきご)みすぎず、プロとDIYを上手に組み合わせるのが賢明(けんめい)です。
一人で抱え込まないで:相談できる場所
DIYの知識や経験がないと、「何から始めれば良いのか」「困った時にどうすれば良いのか」と不安になるかもしれません。そんな時は、一人で悩まず、まずは誰かに相談してみましょう。
- 自治体の移住相談窓口: 地方自治体の中には、移住者(いじゅうしゃ)向けの相談窓口や、空き家バンク制度(あきやバンクせいど)を通じて情報提供を行っている場所があります。改修に関する相談に乗ってくれる担当者(たんとうしゃ)がいる場合もあります。
- 地域のNPOやコミュニティ: 地域には、空き家活用を支援(しえん)しているNPO法人(エヌピーオーほうじん)や、移住者や地域住民が集まるコミュニティがあるかもしれません。そこでの情報交換(じょうほうこうかん)やアドバイスは、非常に役立ちます。
- DIY教室やワークショップ: 初心者向けのDIY教室や、空き家改修のワークショップなどが開催(かいさい)されている場合もあります。実際にプロから教えてもらいながら作業を体験できるので、学びながら不安を解消できます。インターネットで「地域名 DIY教室」などで検索してみるか、自治体に尋ねてみましょう。
- ホームセンターの専門家: ホームセンターには、DIYに関する専門知識を持った店員さんがいます。材料の選び方、工具の使い方、作業手順など、具体的に相談に乗ってくれます。
まとめ:空き家DIYで自分らしい暮らしを育む
空き家を自分の手で改修するDIYは、時間や労力(ろうりょく)はかかりますが、それ以上に大きな喜びや達成感、そして地域とのつながりをもたらしてくれる可能性があります。
セカンドライフで地方の空き家を拠点にしたいとお考えなら、ぜひ「自分で直してみる」という選択肢も考えてみてください。無理のない範囲で、一つずつ、楽しみながら進めることが大切です。
もし不安なことや分からないことがあれば、今回ご紹介したような相談先に気軽に問い合わせてみてください。あなたらしいペースで、空き家DIYを新しい暮らしの豊かな一部にしてください。