【シニア向け】空き家で始める地域の昔遊び伝承会:ご近所さんと笑顔で交流、生きがいを見つけるヒント
リタイア後の暮らしに「地域の昔遊び伝承会」という選択肢
リタイア後の時間が増え、「何か地域でできることはないか」「新しい生きがいを見つけたい」とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。また、住んでいる地域や、将来暮らしたい地方に空き家があるけれど、どう活用したら良いか分からず、そのままになっているというお悩みもあるかもしれません。
そんな方におすすめしたいのが、空き家を拠点にした「地域の昔遊び伝承会」です。難しい知識や大きな資金は必要なく、ご自身が子どもの頃に慣れ親しんだ昔遊びを伝える活動を通じて、地域の人たちと楽しくつながり、笑顔あふれる時間と新しい生きがいを見つけることができるかもしれません。
この記事では、空き家で「地域の昔遊び伝承会」を始めるための具体的なアイデアや、活動を進める上でのヒント、そして活用できる相談先などをご紹介します。
昔遊び伝承会とは、どんな活動でしょうか?
「昔遊び伝承会」とは、その名の通り、お手玉(おてだま)やけん玉(けんだま)、あやとり、コマ回し、めんこ、ビー玉、竹とんぼ(たけとんぼ)など、昔ながらの遊び方を地域の人たちに伝え、一緒に楽しむ活動です。
参加者は、近所の子どもたちだけでなく、その保護者の方、そして「久しぶりにやってみたい」という同世代の方など、幅広い年代になる可能性があります。
空き家の広間や庭先などを利用して、月に一度、あるいは季節ごとに集まる場を設けることから始めることができます。
なぜ空き家が昔遊び伝承会の拠点になるのでしょうか?
地域の空き家を昔遊び伝承会の拠点とすることには、いくつかの利点があります。
- 場所の確保: 地域の集会所や公民館は利用予約が必要だったり、他の活動と重なったりすることがあります。空き家なら、比較的自由に使える場所を確保しやすい場合があります。
- 道具の保管: 昔遊びに使う道具(お手玉、けん玉、コマなど)を置いておくスペースとして活用できます。毎回持ち運びする手間が省けます。
- 天候に左右されない: 雨の日や暑すぎる日でも、屋内の広い空間があれば、快適に活動できます。
- 地域に開かれた場所に: 使われていない空き家が、地域の人たちが気軽に集まり、交流できる温かい場所に生まれ変わります。
もちろん、空き家全体を活動場所にする必要はありません。空き家の一部屋や、広縁(ひろえん)のある広い和室、安全な庭先など、活動の内容や規模に合わせて一部を活用することから始められます。
空き家で昔遊び伝承会を始めるステップ
では、具体的にどのように始めたら良いのでしょうか。いくつかのステップで考えてみましょう。
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どんな昔遊びを伝えたいか考える
- ご自身が得意な遊び、思い出深い遊びをいくつか選んでみましょう。
- 最初は1つか2つの遊びに絞って始めるのも良いでしょう。
- 子ども向けか、大人も楽しめるものか、対象を少し考えてみるのも良いかもしれません。
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活動場所となる空き家を探す・決める
- すでに所有している空き家を使うのか、地域の空き家バンクなどで借りられる場所を探すのかを検討します。
- 参加者が集まりやすい立地か、広さや安全性はどうかなどを確認します。
- 自治体の空き家バンクの担当者に相談してみるのも良い方法です。(相談先については後述します)
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必要な道具を準備する
- ご自宅にある昔遊びの道具を探してみましょう。
- お手玉やけん玉などは、新しく購入したり、手作りしたりすることもできます。
- 地域の方に声をかけて、使っていない道具を譲ってもらったり、一緒に手作りしたりするのも交流のきっかけになります。
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参加者を募集する
- まずは近所の方や知り合いに声をかけてみましょう。
- 自治会の回覧板(かいらんばん)や掲示板(けいじばん)、地域の広報誌(こうほうし)に活動を紹介してもらうことも考えられます。
- 地域の小学校や保育園、子ども会などに相談してみるのも良い方法です。
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無理のないペースで始めてみる
- 週に一度や二度ではなく、月に一度、午前中の数時間だけ、といった無理のない頻度で始めてみましょう。
- 参加者が少なくても気にせず、まずは始めてみることが大切です。
活動に必要な費用と資金について
昔遊び伝承会は、特別な設備や高価な道具が必要ないため、比較的少ない費用で始めることができます。
- 主な費用: 道具の購入費や手作り材料費、空き家を借りる場合は家賃(無償で借りられる場合もあります)、光熱費(こうねつひ)などが考えられます。
- 資金について: 個人の負担で始めることも十分可能ですが、活動を少し広げたい場合などに活用できる公的な支援制度があるかもしれません。
- 自治体の補助金: 地域活動を支援するための補助金や、空き家活用に関する補助金制度を設けている自治体があります。金額は小規模なものが多いですが、活動の助けになる可能性があります。
- 社会福祉協議会(しゃかいふくしきょうぎかい): 地域住民の支え合い活動を支援している場合があります。活動内容によっては相談に乗ってもらえるかもしれません。
こうした情報は、お住まいまたは活動したい地域の自治体窓口や、社会福祉協議会に問い合わせて確認するのが一番確実です。
空き家の改修について:安全確認と簡単な工夫
昔遊び伝承会の活動場所として空き家を使う場合、大がかりな改修は必須ではありません。しかし、参加者が安心して過ごせるよう、最低限の安全確認は行いましょう。
- 床や壁: 傷みはないか、つまずきやすい場所はないか確認します。簡単な修繕(しゅうぜん)で済む場合も多いです。
- 照明や換気: 部屋が暗すぎないか、空気がこもらないかを確認します。必要であれば、照明器具の交換や窓を開けての換気を行います。
- 段差(だんさ): 特に高齢の参加者がいる場合、玄関や部屋の段差には注意が必要です。簡単なスロープを設置したり、注意を促す表示をしたりする工夫も考えられます。
- 清掃: 気持ちよく使えるように、活動前には簡単な清掃を行います。
もし、DIY(ディー・アイ・ワイ:自分で物を作ったり修理したりすること)に興味があれば、床の張り替えや壁の塗り替えなど、少し手を加えてみるのも良いでしょう。地域のボランティア団体やシルバー人材センターなどが、簡単な修繕を手伝ってくれる場合もあります。
地域住民との良好な関係を築くために
空き家を使った活動は、地域の方々の理解と協力があることで、より円滑に進みます。
- 事前の挨拶: 活動を始める前に、近隣の住民の方々に丁寧にご挨拶し、どんな活動を始めるのか説明しましょう。
- 活動内容の共有: 自治会や町内会(ちょうないかい)の集まりなどで、活動について話し、関心を持ってもらう機会を持つことも有効です。
- 参加者への配慮のお願い: 活動する空き家の周辺住民の方にご迷惑にならないよう、参加者には騒ぎすぎないことや、ゴミを持ち帰るなどの基本的なマナーをお願いしましょう。
- 地域のイベントとの連携: 地域の夏祭りや文化祭などで、昔遊び体験のコーナーを設けるなど、イベントと連携することで、活動を知ってもらい、地域の一員として認めてもらいやすくなります。
焦らず、時間をかけて、地域との信頼関係を築いていくことが大切です。
安心して相談できる場所を見つける
「空き家を活用したいけれど、どこに相談すれば良いか分からない」「活動を始めたいけれど、一人では不安」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。そんな時は、一人で悩まず、以下のような場所に相談してみましょう。
- お住まいの自治体の空き家担当窓口: 空き家バンクへの登録相談、空き家に関する補助金や制度の案内、活用方法に関するアドバイスなどを得られる場合があります。
- 地域活動支援センターやNPO法人: 地域で様々な住民活動を支援している団体があります。活動の立ち上げ方や、参加者募集の方法などについて相談できるかもしれません。
- 社会福祉協議会: 高齢者の社会参加や地域での支え合い活動を支援しています。昔遊び伝承会のような多世代交流活動について相談できる可能性があります。
- シルバー人材センター: 高齢者の経験や能力を活かせる仕事や活動を紹介しています。空き家の簡単な修繕などを依頼できる場合もあります。
まずは電話や窓口で、「空き家を使って昔遊びを教えるような活動を考えているのですが、相談できますか?」と問い合わせてみることから始めてみてください。きっと、親身になって話を聞いてくれるはずです。
昔遊び伝承会がもたらす笑顔と生きがい
空き家で昔遊び伝承会を始めることは、単に昔の遊びを伝えるだけでなく、様々な喜びをもたらしてくれます。
- 子どもたちの笑顔: スマートフォンやゲームにはない、体を使った遊びの楽しさを伝えることで、子どもたちの生き生きとした笑顔を見ることができます。
- ご自身の健康維持: 昔遊びは意外と体を使います。活動を通じて、ご自身の健康維持にもつながります。
- 新しい仲間との出会い: 昔遊びに興味を持つ子どもたち、保護者の方、そして同じように地域と関わりたいと思っている同世代の方など、活動を通じて新しい出会いが生まれます。
- 得意なことを活かす喜び: ご自身が子どもの頃に得意だった遊びや、手作りが得意なら道具を作るなど、これまでの経験やスキルを活かすことができます。「ありがとう」と言ってもらえる経験は、大きな生きがいになります。
- 地域への貢献: 使われなくなった空き家を、地域の子どもから大人までが集まる楽しい場所に変えることは、地域への素晴らしい貢献となります。
まとめ
空き家を使った「地域の昔遊び伝承会」は、特別な準備や大きな負担なく、リタイア後の時間を有意義に使い、地域と深くつながることができる素敵なアイデアです。ご自身が昔から持っている知識や経験を活かし、世代を超えた交流を生み出すことができます。
もし、あなたの周りに使われていない空き家があるなら、そして「何か地域でできることを見つけたい」とお考えでしたら、ぜひ「昔遊び伝承会」を一つの選択肢として考えてみてください。まずは小さな一歩から、地域の相談窓口に話を聞きに行ったり、使っていない昔遊びの道具を探してみたりすることから始めてみてはいかがでしょうか。きっと、あなたの暮らしと地域に、たくさんの笑顔と活力が生まれるはずです。