【シニア向け】空き家で始める「もしも」に備える集い:終活や遺品整理を地域で話し合うヒント
【シニア向け】空き家で始める「もしも」に備える集い:終活や遺品整理を地域で話し合うヒント
人生の後半になり、「もしも」の時のこと、つまり終活や遺品整理について、漠然とした不安を感じている方もいらっしゃるかもしれません。どこで、誰に、どのように相談すれば良いのだろうかと悩んでしまうこともありますね。
この場所「地方暮らしビジネス図鑑」は、空き家を活用して、新しい暮らしや地域に根差した活動を始めるヒントを見つけるためのサイトです。この記事では、使われなくなった空き家の一部を活用して、地域の方々と一緒に「もしも」に備えるための、ささやかで心強い集いの場を作るアイデアをご紹介します。
終活や遺品整理について、一人で悩んでいませんか?
終活(しゅうかつ)や遺品整理(いひんせいり)と聞くと、難しく考えたり、暗い気持ちになったりする方もいらっしゃるかもしれません。しかし、これらは残された人生をより安心して、より豊かに生きるための「準備」でもあります。
エンディングノートを書いてみたいけれど、何から始めればいいか分からない。 元気なうちに身の回りを整理したいけれど、一人ではなかなか進まない。 相続や財産のこと、専門家(せんもんか)に聞くほどでもないけれど、ちょっと知っておきたいことがある。
このような疑問や不安を、誰かに話せたら良いのに、と感じることはありませんか。地域に、気軽に立ち寄って、同じような年代の方と情報交換したり、少し先のことを話し合ったりできる場所があったら、心強く思えるかもしれません。
空き家で「もしも」に備える集いの場を作るアイデア
そこでおすすめしたいのが、空き家の一部を利用した「もしも」に備える集いの場です。大がかりな改修や準備は必要ありません。空き家の一室や、リビングのような空間を利用して、まずは小さく始めてみましょう。
この集いの場では、次のような活動が考えられます。
1. 情報交換・おしゃべり会
一番大切なのは、気軽に話せる雰囲気(ふんいき)です。お茶を飲みながら、終活や遺品整理に関して、気になること、困っていること、すでに始めていることなどを自由に話し合います。
- 「エンディングノートって、どんなことを書くの?」
- 「元気なうちにやっておくと良いことってある?」
- 「家の片付け、どこから始めたらいいかしら?」
など、身近な疑問を話し合うだけでも、気持ちが軽くなったり、新しい発見があったりします。経験者から話を聞けるのも大きな助けになります。
2. 情報収集・共有スペース
終活や遺品整理に関する公的な情報や、役立つ情報を集めて共有する場所として活用します。
- 資料コーナー: 自治体(じちたい)が発行しているエンディングノートのひな形や、相続、成年後見制度(せいねんこうけんせいど)に関するパンフレットなどを置きます。
- 書籍・雑誌: 終活や片付けに関する分かりやすい入門書(にゅうもんしょ)や雑誌などを置きます。
- 専門家リスト: 地域の司法書士(しほうしょし)さん、行政書士(ぎょうせいしょし)さん、税理士(ぜいりし)さんなどの連絡先リストや、無料相談会(むりょうそうだんかい)の情報などをまとめて掲示(けいじ)します。
集まったみんなで「こんな情報があったよ」「この本分かりやすかったよ」と共有するのも良いでしょう。
3. 簡単な勉強会・体験会
参加者同士で学び合ったり、外部から専門家を招いたりすることも可能です。
- エンディングノート書き方体験: 自治体のひな形などを使って、実際に少し書いてみる時間を設けます。
- 片付けのヒント: 整理収納(せいりしゅうのう)の簡単なコツなどを話し合ったり、役立つ動画を見たりします。
- 専門家を招いてのミニ講座: 地域の司法書士さんや行政書士さんなどに、相続の基本、遺言書(ゆいごんしょ)の種類などについて、難しくない範囲で話していただく機会を設けることも考えられます。(謝礼が必要な場合もあります)
ただし、あくまで「気軽に学ぶ場」として、専門的な法律相談などは行わないように注意が必要です。
なぜ空き家を活用するのか
「もしも」に備える集いの場を空き家で開くことには、いくつかのメリットがあります。
- 落ち着いた空間: 公共の施設とは違い、プライベートな雰囲気で落ち着いて話すことができます。家の片付けなど、個人的な内容も話しやすいかもしれません。
- 身近な場所: 地域の中にある空き家なら、参加者が歩いて来られるなど、立ち寄りやすい場所にできます。
- 費用を抑えられる: 新たな場所を借りるより、所有している空き家や、借りやすい空き家を活用することで、活動にかかる費用を抑えることができます。
- 地域とのつながり: 集いの場を開くことで、地域の人が自然と集まるようになり、新しい交流や見守りの機会が生まれます。
始めるために、まず考えてみること
1. 空き家の準備
大がかりなリフォームは必要ありません。集まる方が安全に、気持ちよく過ごせるように、簡単な清掃(せいそう)や換気(かんき)を行います。椅子(いす)やテーブル、お茶セットなど、最低限必要なものを揃えましょう。
2. 無理のない運営
週に一度の午前中だけ、月に一度の午後だけなど、運営する方が無理なく続けられる頻度(ひんど)と時間で始めます。一人で抱え込まず、もし協力してくれるご近所さんがいれば、一緒に準備や運営をするのも良いでしょう。
3. 周囲への告知
地域の方に集いの場の存在を知ってもらうために、町内会の掲示板(けいじばん)に貼り紙をしたり、回覧板で知らせたり、ご近所さんに直接お声がけしたりします。自治体の高齢者福祉課(こうれいしゃふくしか)や社会福祉協議会(しゃかいふくしきょうぎかい)などに相談し、情報を載せてもらうこともできるかもしれません。
4. 専門家や行政との連携
終活や遺品整理に関する専門的な質問が出た場合に備え、地域の弁護士(べんごし)会、司法書士会、行政書士会などの無料相談窓口や、自治体の相談窓口の情報を集めておくと安心です。集いの場としては専門的な助言は行わず、「〇〇について詳しくお知りになりたい方は、こちらの窓口にご相談ください」と案内するようにします。
この活動から得られること
この集いの場を始めることで、あなたは空き家を地域のために活かすことができ、大きなやりがいを感じられるでしょう。また、参加される方々は、一人で悩まずに済む安心感、同じ年代の方との交流、そして未来への準備を進めるきっかけを得ることができます。
終活や遺品整理は、ネガティブなものではありません。これからの人生をより良く生きるための前向きな一歩です。空き家を心強い「もしも」に備える拠点として活用し、地域に温かい交流の場を作ってみませんか。
もし、空き家活用や地域の活動について、どこに相談すれば良いか迷っている場合は、まずはお住まいの市区町村(ししくちょうそん)の空き家窓口や、地域包括支援センター(ちいきほうかつしえんセンター)に相談してみることをおすすめします。きっと、活動のヒントやサポートが見つかるはずです。