【シニア向け】空き家で始める「地域の小さな畑」:ご近所さんと一緒に育てて、交流を深めるヒント
リタイア後の時間をどう過ごそうか、地域で新しいつながりを持ちたいけれど、何から始めたら良いか分からない、という方もいらっしゃるかもしれません。地方には、手入れがされずにいる空き家とその広い庭が見受けられることもあります。
この記事では、そのような空き家の庭などを活用して、ご近所さんと一緒に「小さな畑」を始めるアイデアをご紹介します。土に触れ、育てて、収穫を分かち合う活動を通じて、地域とのつながりを育むヒントを探してみましょう。
空き家を使った「地域の小さな畑」とは
空き家の庭や、その敷地内で使われていないスペースの一部を活用して、野菜やハーブ、花などを複数人で一緒に育てる活動です。特別な技術や大きな資金は必要ありません。
例えば、
- 近所の方数人と一緒に、空き家になったお宅の広い庭の一部を借りて、季節の野菜を育てる
- 手入れが行き届いていない空き家を地域のために活用したいと考え、自治会などで呼びかけて小さな花壇や菜園スペースを作る
- 自分の空き家を活用して、近所のお子さんたちと一緒にサツマイモやジャガイモなどを育てる
といった、さまざまな形が考えられます。大規模な農作業ではなく、誰もが気軽に参加できる範囲の「小さな」活動として始めるのがポイントです。
なぜ空き家で「小さな畑」を始めるのが良いのでしょう
空き家には、広い庭があることが多く、地域活動に使える場所として適している場合があります。また、手入れが行き届いていない空き家の庭は、そのままにしておくと雑草が生い茂り、地域の景観を損ねたり、害虫の発生源になったりすることもあります。
そのような場所を「小さな畑」として活用することは、場所の有効活用になるだけでなく、地域の皆さんで協力して手入れをすることで、景観の改善にもつながります。
「地域の小さな畑」活動で得られること
この活動には、たくさんの良い点があります。
- 地域住民との交流が生まれる
- 一緒に作業をしたり、育てたものについて話したりすることで、自然と会話が生まれ、ご近所さんとの距離が縮まります。
- 作業の合間に休憩してお茶を飲みながらおしゃべりする時間も、大切な交流の機会となります。
- 心身の健康につながる
- 土を触る、草をむしる、水をやるなどの作業は、無理のない範囲で体を動かす良い機会となります。
- 太陽の光を浴び、植物の成長を見守ることは、心の健康にも良い影響を与えてくれるでしょう。
- 育てる楽しみと収穫の喜び
- 種から芽が出て、少しずつ成長し、実をつける様子を観察するのは、大きな喜びです。
- みんなで育てた野菜を収穫し、分け合って味わうことは、活動の一番のご褒美かもしれません。
- 地域への貢献
- 空き家の庭をきれいにすることで、地域の景観が良くなります。
- 共同で何かを成し遂げる体験は、地域の絆を深めることにもつながります。
- 無理なく、楽しみながら続けられる
- 一人で全てを抱え込む必要はなく、参加できる人ができる範囲で協力し合えます。
- 大規模な投資や難しい知識がなくても、気軽に始められます。
活動を始めるためのヒント
さあ、「地域の小さな畑」を始めてみようと思ったら、どのようなことから考え始めれば良いでしょうか。
- アイデアを具体的にする
- 「空き家の庭の一部を使って、夏野菜を育ててみよう」「ハーブを植えて、お茶会ができたら楽しそう」など、まずはどんな活動をしたいか、ざっくりと考えてみましょう。
- 誰と一緒にやりたいか(ご近所さん、友人、自治会の仲間など)、どんなスペースを使いたいか(日当たりは良いか、水は使えるかなど)をイメージしてみます。
- 仲間を探す
- まずは、このアイデアに興味を持ってくれそうな人に話してみましょう。地域の集まりや趣味のサークルなどで声をかけてみるのも良いかもしれません。
- 「空き家の庭を使わせてもらえないか」「一緒に野菜を育ててみませんか?」といったように、分かりやすく伝えてみましょう。
- 場所の準備をする
- 活用したい空き家の所有者の方に、庭の一部を使わせてもらえるか相談します。もし連絡先が分からない場合は、自治体の空き家相談窓口などに相談してみましょう。
- 借りることができたら、みんなで協力して草刈りをしたり、石を取り除いたりといった簡単な準備をします。専門的な整地は、必要であれば信頼できる業者に相談することもできます。
- 必要なものを揃える
- スコップ、クワ、ジョウロ、軍手などの基本的な道具は、各自持ち寄ったり、安価なものを少しずつ揃えたりできます。
- 育てるものに合わせて、種や苗、肥料などを準備します。最初はホームセンターや園芸店で手軽に手に入るものから始めるのがおすすめです。
- 簡単なルールを決める
- 「水やりは当番制にしましょう」「収穫したものはみんなで分けましょう」など、活動を円滑に進めるための簡単な約束事を話し合っておくと良いでしょう。
- 費用が発生する場合(肥料代など)は、どのように分担するかなども決めておきます。
活動を続けるためのコツと注意点
- 無理は禁物です
- 最初は小さなスペースから始め、育てるものも種類を絞るなど、体力や時間に合わせて無理のない範囲で進めましょう。
- 天候に左右されることもあるので、計画通りに進まなくても焦らないことが大切です。
- コミュニケーションを大切に
- 作業の時だけでなく、作業がない日でも挨拶をしたり、声をかけ合ったりするなど、日頃からのコミュニケーションを大切にしましょう。
- 活動について話し合う定例会や、収穫したものを囲んでのお茶会などを設けるのも良い方法です。
- 近隣への配慮
- 作業中の大きな音や、虫の発生など、近隣の方にご迷惑がかからないよう配慮しましょう。
- 活動内容をあらかじめ地域の方に知らせておくことも、理解を得る上で役立ちます。
- 空き家の所有者との良好な関係維持
- 庭を使わせてもらっていることへの感謝の気持ちを伝え、定期的に活動の様子を報告するなど、所有者の方との信頼関係を保つように心がけましょう。
どこに相談すれば良いでしょうか
空き家活用のこと、地域での活動のことなど、分からないことや不安なことがあれば、一人で悩まずに相談できる場所があります。
- お住まいの自治体の空き家相談窓口:空き家の情報や、活用に関する制度について相談できます。
- 社会福祉協議会や地域包括支援センター:地域での暮らしや、高齢者の生きがいづくりに関する相談に乗ってくれます。
- 地域のNPOや市民活動団体:既に地域で活動している団体に相談したり、活動に加わったりできるかもしれません。
- 自治会の役員さんや民生委員さん:地域のことによく詳しいので、相談に乗ってくれたり、適切な窓口を教えてくれたりする場合があります。
これらの窓口に相談することで、活動のヒントや支援制度に関する情報を得られる可能性があります。
さいごに
空き家の庭を使った「地域の小さな畑」は、始めるのに大きな費用や準備は必要ありません。土に触れる時間は心を落ち着かせ、植物の成長は私たちに元気を与えてくれます。そして何より、この活動を通じて生まれる地域の人々との温かい交流は、リタイア後の暮らしを豊かにし、新しい生きがいを見つけるきっかけとなるでしょう。
まずは、小さな一歩から踏み出してみてはいかがでしょうか。ご近所さんと一緒に土をいじる時間から、きっと新しい楽しみとつながりが生まれるはずです。