【シニア向け】空き家で学ぶ地域の防災・防犯:ご近所さんと始める安心暮らしのヒント
地域の空き家で始める「もしも」に備える学び合い
私たちは日々の暮らしの中で、地震や大雨といった自然災害、あるいは不審者への対応など、「もしも」のことに漠然とした不安を感じることがあるかもしれません。特に地方では、高齢化が進む地域もあり、いざという時にどうすれば良いか、誰に頼れば良いか、不安を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そんな時、地域の空き家を少し借りて、ご近所さんと一緒に防災(ぼうさい)や防犯(ぼうはん)について学び合う集まりを開いてみるのはいかがでしょうか。難しく考える必要はありません。空き家の一室を利用して、お茶でも飲みながら、地域での安心な暮らしについて気軽に話し合う場所にするのです。
この場所は、専門的な知識を教え合う場というよりは、みんなで情報を持ち寄り、助け合うためのきっかけを作る「学び合い」の場です。この記事では、空き家を活用して、地域で防災・防犯について学び合う小さな集まりを始めるヒントをご紹介します。
なぜ空き家が防災・防犯の学び合いに適しているのか
空き家は、地域の真ん中にあることも多く、ご近所の方が立ち寄りやすい場所にあります。公民館や集会所のようにかしこまった場所ではなく、人の出入りが少ない空き家だからこそ、気兼ねなく、ゆったりと話し合える雰囲気を作りやすいという良さがあります。
また、地域の中にこうした集まれる場所があることは、地域のつながりを強くすることにもつながります。顔見知りが増えれば、いざという時にも「あの人に声をかけよう」「この人に助けを求めよう」といった具体的な行動につながりやすくなります。
空き家でできる防災・防犯学び合いのアイデア
空き家を使って、例えば次のような学び合いの集まりを開くことが考えられます。
- 地域の危険箇所(きけんかしょ)や避難場所(ひなんばしょ)を確認する
- お住まいの自治体(じちたい)が発行しているハザードマップ(自然災害による被害予測地図)や避難場所の地図などを持ち寄り、みんなで確認します。
- 「この道は雨が降ると冠水しやすいね」「この橋は地震の時どうなるだろう」といった地域の具体的な情報交換ができます。
- 災害時の連絡方法や安否確認(あんぴかくにん)の方法を話し合う
- 災害が起きた時に、どうやって連絡を取り合うか、お互いの無事を確認するかなど、具体的な方法を話し合っておきます。
- 「もし電話が通じなかったらどうする?」「LINEは使えるかな?」「集合場所を決めておく?」など、地域の実情に合わせて考えてみましょう。
- 簡単な非常用持ち出し袋(ひじょうようもちだしぶくろ)や備蓄品(びちくひん)について学ぶ
- 「非常用持ち出し袋には何を入れておけばいいの?」「水や食料はどれくらい必要?」といった疑問について、自治体の資料を見たり、経験者が情報を提供したりします。
- みんなで持ち寄り、お互いの備えを見せ合うのも良いかもしれません。
- 地域の防犯対策(ぼうはんたいさく)について情報交換する
- 地域の最近の不審者情報や、空き巣、詐欺(さぎ)といった犯罪の手口について情報交換し、注意喚起(ちゅういかんき)を行います。
- 「家の戸締まりは大丈夫?」「どんなことに気を付ければいい?」など、身近な話題から話し合います。
- 無理のない範囲で簡単な訓練をしてみる
- 例えば、参加者同士で「電話が通じない想定で、伝言を頼んでみる」といった簡単な情報伝達訓練や、自治体配布の応急手当(おうきゅうてあて)マニュアルを見てみるなど、座学だけでなく少し体を動かすことも取り入れてみます。
これらの活動は、専門家を呼ぶ必要はありません。参加者同士で、知っていることを教え合い、分からないことを質問し合いながら進めることができます。
小さく始めるためのステップ
「空き家で集まりを始める」と聞くと難しく感じるかもしれませんが、まずは小さな一歩から踏み出すことが大切です。
- きっかけを見つける: ご近所さんとお茶を飲んでいる時に、「最近、防災について心配なのよね」「ご近所さんと集まって、もしもの時のこと話せたら安心なのに」といった話題が出た時がチャンスです。
- 空き家の一部を使う検討: 使われていない空き家の一部(例えば居間や台所など)を使わせてもらえるか、所有者の方や不動産会社、あるいは自治体の空き家バンク担当窓口に相談してみます。まずは定期的な利用ではなく、「お試しで一回だけ」といった形からお願いしてみるのも良いでしょう。簡単な掃除や片付けが必要な場合もあります。
- まずは数人で始めてみる: 最初からたくさんの人を集める必要はありません。まずは、日頃から親しくしているご近所さん数人に声をかけてみましょう。
- 参加者を少しずつ増やす: 最初に参加した方が、別のご近所さんを誘う形で、少しずつ輪を広げていきます。地域の掲示板に手書きのお知らせを貼らせてもらうのも良い方法です。
- 無理なく続ける工夫: 毎月同じ日に集まる、持ち回りでテーマを決める、お茶やお菓子は持ち寄りにするなど、みんなが負担なく参加・継続できるようなルールを決めましょう。
地域住民との関係を築き、安心して活動するために
地域で活動を始める上で、ご近所さんとの良好な関係はとても大切です。
- 挨拶を大切にする: 日頃から気持ちの良い挨拶を心がけましょう。
- 参加は強制しない: 集まりへの参加はあくまで自由であることを伝え、無理に参加を勧めたりしないようにしましょう。
- 和やかな雰囲気作り: かしこまらず、お茶を飲みながらおしゃべりするような、リラックスできる雰囲気作りを心がけます。
- 助け合いの気持ちを持つ: 参加者同士がお互いを気遣い、困っている人がいたら自然に助け合えるような関係を目指しましょう。
困った時の相談先
活動を始めるにあたって、疑問や不安が出てくることもあるかもしれません。そんな時は、一人で抱え込まず、地域の専門家や相談窓口に頼ってみましょう。
- 自治体の防災担当・防犯担当部署: 地域のハザードマップや避難場所に関する情報、防犯に関するアドバイスなどがもらえます。
- 地域の社会福祉協議会(しゃかいふくしきょうぎかい): 地域の高齢者支援や住民活動のサポートを行っています。活動に関する相談に乗ってくれる場合があります。
- 民生委員(みんせいいいん)や地域の区長さん、自治会長さん: 地域の状況をよく知っています。活動を始める前に相談してみることで、地域に受け入れられやすくなる場合もあります。
- 地域のNPOや市民活動団体: 高齢者支援や地域活性化に取り組む団体が、活動のアドバイスや仲間探しのサポートをしてくれるかもしれません。
まとめ
空き家を使った地域の防災・防犯学び合いの集まりは、大きな費用や特別な資格がなくても始めることができます。大切なのは、「自分たちの地域を自分たちで守ろう」「ご近所さんと助け合える関係を作ろう」という気持ちです。
この活動を通じて、地域の方々とのつながりが深まり、日々の暮らしの安心につながるだけでなく、参加する方自身の生きがいや、地域での役割を見つけることにもつながるでしょう。
まずは、身近な空き家やご近所さんに目を向けることから始めてみてはいかがでしょうか。きっと、新しい発見や温かい交流が待っているはずです。